2020年の初夏、曽祖母の一周忌の法事があったのですが、その時のお坊さんのお話がとても心に響きまして。
世界は、見えるもの、聞こえるもので構成されており、それらは全て振動(光と音)=響きでできていて、思いや考えを響にする(=見える形、聞こえる形にする)ことでエネルギーが周囲に派生していくのだそうです。
新型コロナウイルスが蔓延し始めて、公演が難しくなってしまった中で、自分が踊りを創る必要ってあるのだろうか、と気分が落ち込んでいたのですが、このお坊さんの話を聞いて、自分の考えや想いを振り付けとして起こす(=目に見える形にする)ことは、微力だとしても、何かしらエネルギーを派生させることができるのかもしれないと思い、とても救われました。
その日、お経が音としてとてもリズミカルで、同じ音の繰り返しや連なりもとても音楽的に聴こえました。そして、線香から立ち上る煙が、お坊さんの発する振動(=声)に連動して舞っているかのように見えたのがとても印象的で、お経で踊りを創りたい、と思い創りました。
(少し調べてみただけですが、お経にも色々とあり、素人が軽い気持ちで唱えるとあまりよろしくないものもあるらしく、法事の時に聞いたお経ではないですが、「写経のすすめ」や「読経のすすめ」などがたくさん出ていて、誰でも唱えると徳を積める(?)らしい「般若心経」にしました)
振付は一文字一文字につけていて、同じ漢字は同じ振付を踊り、音のリズム感を身体でも表現できるようにしました。あとは全体としてお線香の煙のイメージで振り付けています。
コロナ禍で、しばらく作品制作が滞ってしまっていたのですが、ようやく、ひとまず、形にできたのがこの作品です。
撮影技術も編集技術も拙過ぎて、作品として出すには及ばず習作という位置付けです。
でも、だからといって何も創らなければ進めない、という思いで公開しました。
振付・出演・撮影・編集:有泉汐織
制作:Creiーru
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